1 相手方は中国系不動産会社
当方依頼者は国外に居住する中国人の方です。
相手方は日本企業ですが、中国人が出資し、中国人が代表取締役を務める中国系不動産会社でした。
2 取引に至る経緯
依頼者は中国にある仲介会社の発信するSNSでの情報により、相手方の対日不動産投資に関する情報を目にして興味を持つようになりました。依頼者は移民手続や投資ビザのことにも興味がありました。
その後、依頼者は仲介とやりとりをしたうえで、中国国内にある仲介会社の事務所を訪れ、そこで相手方との間の不動産売買契約書にサインしました。
依頼者は仲介に対しては仲介手数料などを支払ったことはありませんでした。
また、不動産売買契約書にサインするときに、重要事項説明書を交付されることもありませんでした。
3 売買代金の支払い
依頼者はまずは手付金の支払いを行い、その後残代金の支払を行いました。
支払先は相手方代表者の中国国内の個人口座で、いずれも人民元による振込支払でしたので、支払先は厳密には日本企業である相手方ではありませんでしたが、相手方名義の領収書は発行されていました。
4 契約不履行→弁護士依頼
相手方は申立人が売買代金全額の支払いを行ったにもかかわらず、所有権移転登記を行いませんでした。
また、売買契約書の中には収益金の支払いが定められていましたが、相手方は終映金の支払も怠るようになりました。
後に調査したところ、物件目録に記載された不動産は存在していないことも判明しました。
依頼者は自分で相手方と折衝しようとしましたが、埒があかないため、当職に相談をし、正式に依頼を行いました。
5 弁護士受任後解決までの経過
①内容証明を出す
まずは受任後直ちに内容証明を出し、契約解除の意思表示を行うとともに、期限を切って返金請求を行いました。
②訴訟を提起する
相手方にも代理人が就いたものの、予想どおり返金に応じなかったため、期限経過後、速やかに訴訟を提起しました。
訴訟提起後、相手方が引き延ばしをできないように裁判所とうまく連絡を取り合い、提訴からわずか4か月後に勝訴判決を得ることができました。
③ 強制執行
勝訴判決確定後は強制執行に着手しました。具体的には、相手方の数行の銀行預金口座の差押え(債権執行)の申立を行いました。銀行口座に対する差押えはヒットしたものの、相手方が銀行に対する借入をしており、相殺予定ということで銀行からの支払いは受けられない状況にありました。
④不動産保証協会に対する認証を申し出す
相手方が宅建業者であったことから、強制執行と並行して、不動産保証協会に対する認証の申出も行いました。これは宅建業法64条の8に基づき、1000万円を限度として(従たる店舗がある場合は一店舗につき500万円加算した金額が限度額)不動産保証協会から弁済を受けるという制度です。これにより、渉外事案という難しさもあり、申出から1年半を要しましたが、1500万円の弁済を受けることに成功しました。
⑤財産開示の申立・刑事告発
同時に、裁判所に対しては財産開示の申立を行いました。財産開示期日に相手方代表者が出頭しなかったため、さらに民事執行法違反(213条第1項5号)を理由に刑事告発も行いました。
それが功を奏し、相手方代表者は警察から呼出を受けて取り調べを受けることになり、当方に対して示談の申し入れがなされました。最終的にうまく示談が成立し、受任から2年を経て、勝訴判決に基づく全額の回収を実現することに成功しました。
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