1 メリット
(1) 結果が変わること
代理人や専門家に依頼をした場合の最大のメリットは、依頼をしなかった場合と比べて、より良い結果が得られるということでしょう。
具体的には経済的に得られる利益が増えるということ(得られる財産が増えたり、失う金額が減るということ)です。
ただし、専門家に依頼をすることによって結果に違いがあるかどうかは、事案によります。
誠実な専門家であれば、相談の段階で専門家を依頼することにより相談者にメリットがあるかどうかを見極め、依頼するメリットがない場合には、率直にそのことを相談者に伝えると思います。
(2) 法律上の正当な利益を実現できること
法律の素人は法律を知らないことが多いといえます。特に、国際的な事案の場合には、外国法や外国の制度、実務についての知識なども必要になるため、素人ではそもそもどのように進めることが適切で、どのような結果が法律的に正しい結果なのかが分からないことが通常です。
専門家に依頼をすることにより、法律上の正当な利益を実現できるということは、専門家を依頼するメリットの一つといえます。
(3) 壁を突破しやすくなること
行政部門や相手方との交渉の場面においても、素人が自分で交渉していた場合にはうまくいかない場合に、専門家が専門的知識や交渉力を活かして進めることにより、うまく物事が進むことは多々あると思います。
白黒はっきりしている物事については、専門家が入っても結論は変わらないことが多いですが、多くの物事はグレーで微妙という場合が多く、担当者の考え方や資質で左右されることがあります。専門家を頼めば、資質の悪い担当者に当たった場合でもより良い結果を出すことができる可能性が上がると考えられます。
(4) 合法的にトラブルを解決できること
トラブルを解決する手段として専門家を依頼するのは最も確実な方法です。
中国では日本と異なり、人脈を駆使して物事を解決する(找人)という習慣があり、それが効果的であることが多いですが、日本では人脈による解決ができる場面はほとんどありません。
中国人の方は、中国での習慣から法律の専門家以外のルートで問題を解決できるのではないかと考えがちですが、日本には当てはまらないことがほとんどです。専門家ではない人(最悪なのは暴力団など)にトラブルの解決を依頼し、やり方を間違えると、違法になるリスクがあるので、注意が必要です。
また、海外の習慣に不慣れな日本人の方が安易に人脈による解決を行おうとすると、騙されたり、賄賂などの違法な行為につながるリスクもありますので、やはり経験豊富な専門家を通じて物事を進めるのが安心といえます。
(5) 安心であること
これは精神的なものですが、専門家を任せることによる精神的な安心感というのも意外と大きなメリットではないかと思います。
特に、トラブルを抱えているとき、人は誰しも不安になるものですので、自分を理解して寄り添ってくれる人がいる、ということはストレスの軽減になります。
(6) 戦略的な助言が得られること
実力のある専門家であれば、依頼者の目的や依頼者が本当に求めるものを見抜き、依頼者が気がついていなかった観点からアドバイスをすることができます。必ずしも表面的に依頼者が話していることだけにとらわれず、全体を見極めて戦略的な智恵を出せるというのは、力のある専門家を依頼する大きなメリットといえます。
2 デメリット
(1) 費用がかかること
当然ながら専門家を依頼するのには費用がかかります。
したがって、専門家を依頼することによって得られる利益よりも、必要となる費用の方が多い場合には、専門家を頼まない方がよいでしょう。事案の経済的利益が小さく、費用倒れになる案件や、勝ち目の全くない事案などが典型的です。
(2) かえって紛争の激化を招く場合があること
たとえば、相手方がまだ弁護士を依頼していない場合に、こちらが先行して弁護士を立てることにより、相手方に宣戦布告的なメッセージが伝わってしまう場合があります。そのような場合は、仮に弁護士に相談をしていたとしても、どのタイミングで弁護士が代理人として正面に出るかは、よく考える必要があります。良いタイミングが来るまで弁護士が表に出ず、裏からアドバイスだけを与えるというやり方をするのが良いケースもあります。
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