相談内容
中国人Hが日本で経営する不動産業者Aが仲介し、中国に住む中国人Bが騙されたというケースです。不動産業者Aは、日本人Rが所有する日本にある不動産の購入を中国人Bに持ちかけました。日本での不動産投資に興味のあったBはその不動産を購入することを決めました。
不動産業者Bは売買契約書を作成して中国人Bのもとを尋ね、Bに買主として署名捺印をさせ、契約書に定めのある手付金(売買代金の1割)の支払をさせました。
しかし、中国人Bがその売買契約書に買主として署名捺印をしたときには、契約書には日本人Rの署名捺印はなされていませんでした。
その後、不動産業者Aは中国人Bに対し、日本人Rが中国人Bには売りたくないと言っている、土地を買いたければ、売買代金の4割の中間金を支払えなどと言って、当初の契約書の規定にはなかった中間金の支払いを新たに追加で要求してきました。
中国人Bはおかしいと感じ、中間金の支払いを拒否しました。
その後、結局、日本人Rはすぐに別の日本企業Pにその不動産を売ってしまい、不動産の移転登記も日本企業P名義になってしまいました。
中国人Bは自分が騙されたことに気がつき、不動産業者Aに対し、手付金の返還を請求しましたが、不動産業者Aが返還に応じなかったことから、中国人Bは自分が騙されたということに気がつき、弁護士に相談しました。
相談後
中国人Bは弁護士に依頼をし、まずは弁護士が不動産業者Aに内容証明郵便で支払済みの手付金を全額返還するように求めました。
しかし、不動産業者Aが返還を拒否したことから、弁護士は裁判所に訴訟を提起し、裁判によって手付金の返還を請求しました。裁判所では請求が認められ、中国人Bは手付金の返還を受けることができました。
弁護士のコメント
不動産業者Aは中国人Hが日本で経営する悪徳不動産業者であり、中国人買主Bとは、中国人Hが窓口となって、全て中国語でやりとりがなされていました。騙された中国人Bにとっては、Hとは中国語でやりとりができて便利であったことから、安易にHを信用してしまいました。
中国人Bとしては、日本人売主Rの署名捺印がない状態、すなわち、まだRとの間での契約が成立していない段階で、手付金の支払いをすべきでありませんでした。不動産業者が契約がまだ成立していない状況で、手付金の支払いを求めるなどということは日本では絶対にありえないことなのですが、中国人Bにはそのような知識がなかったため、騙されてしまいました。
もしも中国人Bが、中間金の支払までしてしまっていたら、より大きな被害を受けてしまうところでした。
法律上は、手付金の返還請求の相手方は売主候補であった日本人Rではないかという問題もありえましたが、中国人Bが手付金を支払った時点では売買契約は未だ成立していない状況でしたので、不動産業者Aに対する不法行為に基づく損害賠償請求という法律構成で訴訟を提起しました。
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