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2020.04.03 トピックス
国際相続について
1 国際相続とは

国際相続とは、①被相続人、相続人が外国人である場合や②相続財産の所在地が外国である場合、など、国際的な要素のある相続です。

例えば、①は中国人妻と日本人夫が結婚していて、日本人夫が死亡し、相続が開始したようなケース、②は日本人夫婦につき、日本人夫が中国に駐在していて中国に銀行預金を持っている状況で死亡し、日本人妻がこれを相続する場合、などが典型例です。

2 国際相続にはどこの国の法律が適用されるのか

純国内的な相続問題については、国内法が適用されることは当然です。

たとえば、日本に住む日本人夫婦で、日本人夫が死亡して相続が開始し、相続財産も全て日本にあるという場合に、相続に関する法律問題(たとえば、法律上、相続人が誰で、法定相続分がどのような割合か、というような問題)について、日本の民法が適用されることは簡単な当たり前のことです。

しかし、国際相続の場合は、当然に国内法が適用されるとは限りません。そもそもどこの国の法律が適用されるのか、という問題があります。

例えば、日本人夫と中国人妻が中国で生活していたケースで、日本人夫が死亡した場合、相続人になるのは誰でしょうか?誰が相続人になるか、ということは、実は、国によって法律の内容が異なります。この例でいえば、日本の民法が適用されるのか、それとも中国の承継法が適用されるのか、という問題です。

実は、このような国際的な法律問題に何国法を適用するのか、ということを定めた「法の適用に関する通則法」という法律があります。

相続に関していえば、、「法の適用に関する通則法」の36条に規定があり、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定されています

これは、相続には、原則として、被相続人が国籍を有する国の法律(本国法)が適用される、という意味です。

したがって、先の例でいえば、被相続人である死亡した日本人夫の本国法、つまり、日本法が適用されるということです。

3 相続法に関する日本法と中国法の面白い違い

日本法では、直系尊属は第一順位の相続人ではありません。たとえば、日本人夫婦に子供がおり、日本人夫が亡くなった場合、法定相続人は妻と子であり、日本人夫の父母は相続人になりません。

第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。

第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。

第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。

ところが、中国法(承継法)では、父母は第一順位の相続人となっています。

第十条 遗产按照下列顺序继承:

第一顺序:配偶、子女、父母。

 

中国では皆さんとても親孝行ですが、そうした価値観が法律の違いにも反映されており、面白いですね。

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