2020.04.03
トピックス
中国企業の対日投資
ここ数年、中国企業からの対日投資が注目を集めています。
その主な理由を見ていきましょう。
1中国企業の経済力が強くなった
かつては中日間の投資といえば、お金のある日本企業が中国で投資をし、中国側は中国で人、場所、資源を提供するというパターンがメインでした。中国が世界の工場となったゆえんです。
しかし、中国が経済的に発展し、今では多くの中国企業が経済的に豊かになりました。
こうした中で、従来とは逆に、中国側が金を出して投資をし、日本の技術や人材を手に入れる、というビジネスモデルが広まるようになりました。
2中国ビジネスにおける競争の激化と差別化の必要性
中国におけるビジネスは競争が厳しいです。
そのため、ライバル企業との競争に勝つためには、他の会社にない、自社独自の強みを持つ必要(差別化の必要)が出てきました。
日本企業の有する優れた技術が中国市場における差別化のために有益であることから、競争に勝つための手段として、多くの中国企業が対日投資を行っています。
3中国ビジネスにおけるスピードの速さ
中国ビジネスではスピード感がとても重要です。
他の企業に先立って市場を席巻できるかどうかで、成功できるかどうかが違ってきます。
そのため、自社で時間をかけてゆっくりと技術開発や製品開発をしている時間的余裕がありません。
そこで、短期で優れた技術や製品を手に入れるため、中国企業が対日投資をするケースがよくあります。
4中国企業・日本企業の異なる長所の相互活用
日本では終身雇用制がとられていることから、日本企業は自社で長年かけて優れた人材を育てることが得意です。職人気質で優れた技術を開発するのは日本企業の長所といえます。
中国では終身雇用制はとられておらず、労働者の流動性が高いので、日本企業のような職人や技術の育成は得意とはいえません。
しかし、中国企業は日本企業に比べ、営業力があり、商売上手という印象があります。また、状況の変化に、スピーディーかつ臨機応変に対応したり、決断する能力は日本企業よりも優れていることが多いです。
そして、中国には経済力をつけた巨大な市場があります。
このように、中国企業と日本企業が相互の良さを活かし合うことができることも、中国からの対日投資が増えている理由といえます。
5日本の社会・経済が比較的安定しており、見通しが立てやすい
投資をする立場としては、投資をした財産の権利や、その価値が守られるかどうかが大きな関心事です。この点、日本は世界の中では、政治や経済が比較的安定しており、ある日突然権利を失うといったリスクが少ない、という安全性も、中国の投資者にとって魅力的なポイントでしょう。
6親日・親中人材が豊富であること
中国と日本は長年にわたって経済的に密接な関係を築いてきているため、互いのことをよく知っている人材が比較的豊富です。中国における日本語人材や、中国に投資したことのある日本企業、中国企業と取引したことのある日本人はたくさんいます。こうしたベースも、中国の対日投資を推進している背景になっていると考えられます。
7地理的に近いこと
中国と日本が地理的に近接していることは、コストや時間などの面などで条件的に有利といえます。これも中国の対日投資に有利な一つの条件といえるでしょう。
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